公開: 2023年3月20日
更新: 2023年4月12日
リテラシーとは、本来は識字率のことを言います。人口のどれくらいの割合の人々が、文字の読み書きを知っているかを言う比率です。16世紀までのヨーロッパ社会では、母国語で文章を精確に書くために必要な、厳密な文法が定まっていなかったため、母国語でも文字の読み書きは簡単なことではありませんでした。当時は、読み書きのために用いられていた言葉は、聖書が書かれていたラテン語でした。大学で教えていた基礎科目にラテン語の読み書きが入っていたのも、このためでした。つまり、一般の人々は、ラテン語を学ぶ必要がなかったため、読み書きができなかったのです。そのため、識字率は大変低かったと言われています。18世紀になると、産業革命が進み、一般の人々の間でも母国語での読み書きができるようになってきました。
ヨーロッパの言語の場合、発音と文字で表現する場合の言葉の間には、違いがあります。つまり、話し言葉を知っていても、書くためには、別な知識が必要になります。つまり、読み書きを学ぶためには、語彙を学ぶために、その「つづり」も学ばなければなりません。このことが、ヨーロッパ社会での識字率を向上させるときの障害になります。ヨーロッパ社会の基礎教育では、そのことが極めて重要になります。
20世紀に入って、文明が進歩すると、人々が日常の生活を問題なく行うために必要な知識は、爆発的に増加しました。そのため、文字での読み書きを学ぶだけでは、社会生活を営むために十分ではなくなりました。例えば、情報の発信や、受信、受信した情報の解釈方法、内容の確認方法など、情報の交換についても必要な知識は増加しています。さらに、1990年代からは、インターネットとコンピュータを利用した情報交換か広まり、インターネットやコンピュータの基礎知識も必要になって来ました。そのような、コンピュータやインターネットの利用に関する基礎知識を「情報リテラシー」と呼んでいます。